人気ブログランキング | 話題のタグを見る

第一話


荒れた草原を、一人の青年が歩いていた。
辺りの大きな岩に足音が虚しく響く・・。

青年はその岩の一つに飛び乗り、横になり目を瞑った。

「・・ねぇ・・ミンク・・」
しばらくして、青年の隣を飛んでいた小さな白いラヒが話しかける。

「・・解ってる・・。」

彼には分かっていた。
自分が休息に選んだこの岩の陰で、凶暴な獣が獲物を待ち構えていることくらい・・

グワラァァァァ!!

けたたましい鳴き声とともに、巨大な牙をもった獣が青年に飛びかかって来た!
「・・・・ふん・・」

・・ガッ!!
獣は攻撃が当たったと思ったらしい。が、牙が刺さっていたのは岩だった。
グルルルル・・・
慌てて青年を探す獣。だがすでに彼は獣の視界には入っていなかった。

「・・・・」

獣のはるか頭上まで跳んでいたミンクは、その足を獣の背中に叩きつけた!

・・ボキィ!!

獣の背骨は真っ二つに割れ、すでに起き上がれなくなっていた。
グルルァ・・

ミンクはそこから立ち去ろうと背を向けた。
・・が、獣は最後の力を振り絞って噛みつこうとした―

一瞬だった。

ミンクは獣の首根っこをつかみ、何をするかと思うと、その足から繰り出される鋭い回し蹴りを獣の首に食い込ませた。

・・獣の悲鳴は聞こえる事はなかった。すでに頭はそこに無かったのだから―。


白いラヒは、頭の無い血塗れになった獣の亡骸を見つめていた。

「・・・・行くぞ・・ピト」

ミンクはそう言うとまた草原を歩き出した。

白いラヒは静かに彼の後ろへと飛んで行った。
by kozenisuke | 2008-03-26 15:30 | リレー小説
<< 第二話 始める前に僕も挨拶。 >>