荒れた草原を、一人の青年が歩いていた。 辺りの大きな岩に足音が虚しく響く・・。 青年はその岩の一つに飛び乗り、横になり目を瞑った。 「・・ねぇ・・ミンク・・」 しばらくして、青年の隣を飛んでいた小さな白いラヒが話しかける。 「・・解ってる・・。」 彼には分かっていた。 自分が休息に選んだこの岩の陰で、凶暴な獣が獲物を待ち構えていることくらい・・ グワラァァァァ!! けたたましい鳴き声とともに、巨大な牙をもった獣が青年に飛びかかって来た! 「・・・・ふん・・」 ・・ガッ!! 獣は攻撃が当たったと思ったらしい。が、牙が刺さっていたのは岩だった。 グルルルル・・・ 慌てて青年を探す獣。だがすでに彼は獣の視界には入っていなかった。 「・・・・」 獣のはるか頭上まで跳んでいたミンクは、その足を獣の背中に叩きつけた! ・・ボキィ!! 獣の背骨は真っ二つに割れ、すでに起き上がれなくなっていた。 グルルァ・・ ミンクはそこから立ち去ろうと背を向けた。 ・・が、獣は最後の力を振り絞って噛みつこうとした― 一瞬だった。 ミンクは獣の首根っこをつかみ、何をするかと思うと、その足から繰り出される鋭い回し蹴りを獣の首に食い込ませた。 ・・獣の悲鳴は聞こえる事はなかった。すでに頭はそこに無かったのだから―。 白いラヒは、頭の無い血塗れになった獣の亡骸を見つめていた。 「・・・・行くぞ・・ピト」 ミンクはそう言うとまた草原を歩き出した。 白いラヒは静かに彼の後ろへと飛んで行った。
by kozenisuke
| 2008-03-26 15:30
| リレー小説
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